マインクラフトの世界でエルデンリングの敵と戦う。マリオがダークファンタジーの城を駆け抜ける。2つのゲームを1つに混ぜて遊ぶ「AIマッシュアップ」が、海外のSNSで大きな話題になっています。仕掛けの中心にいるのは、Anthropicのコーディング用AI「Claude Code」です。
この記事では、話題の動画が何を見せたのかを整理し、日本の著作権法・ゲーム会社の規約・Claudeの利用ルールから、合法と違法の境目をはっきり示します。後半では、Claude Codeで自分だけのマッシュアップゲームを実際に作った様子も紹介します。
自分で作った素材どうしを混ぜるなら、完全に合法です。Claude Codeなら、オリジナルのゲーム2本を作り、1本に融合するところまで約12分で実現できました。
市販ゲーム同士の融合は、自分のPCで個人的に遊ぶ範囲までが法律上の目安です。ゲームのデータを配る・売る・オンラインで使う段階から、違法や規約違反になります。会社によっては、個人で遊ぶ改造でも他社作品との混在を禁止しています。
01話題の動画は何を見せたのか
発端は、TikTokアカウント「ベン•ゼイン[公式]」が投稿した66秒の動画「ゲーム2つ混ぜて遊ばせるトレンドが面白すぎる」です。海外で流行しているゲーム融合の動きを、日本語字幕つきで紹介しています。内容は大きく4つの場面に分かれます。
| 時間 | 場面 | 動画の主張 |
|---|---|---|
| 0〜12秒 | 融合ゲームの紹介 | マインクラフト×コール オブ デューティ、GTA×マインクラフトなどの映像。「違法だと思うじゃん?上手にやれば…」 |
| 14〜31秒 | 作り方 | Steamのライブラリから2本を選び、AIが橋渡しのプログラムを書く。プロが数か月かける作業がAIで短縮される |
| 32〜44秒 | 線引き | 2本とも購入済みで、個人で遊ぶ分にはOK。AIで読み取ったコピー版の無料公開・販売はアウト |
| 45〜66秒 | まとめ | 「技術的には可能、法律的にはまずい」。それでも夢がある |
動画の中盤には、Claude Codeの画面がはっきり映ります。Opus 5.5のモデルで、Meltyの指示文(46行)を貼りつけ、「Black Opsの銃をマインクラフトに入れて」と頼んでいます。

「作る」技術はAIで誰でも使えるようになり、「配る」ルールは昔のままです。この2つの差が、話題の正体です。
02動画に登場した融合ゲーム
動画に出てくる組み合わせは、どれも海外のクリエイターが公開した実例です。英国のゲームメディアVideo Games Chronicle(VGC)は2026年10月5日の記事で、こうした融合MODがClaude Opus 5.5を使って2本のゲームを解析し、同時に動かして操作を同期させる仕組みだと報じています。
| 名前 | 組み合わせ | 遊び方 |
|---|---|---|
| Elden Craft | マインクラフト+エルデンリング | マイクラのプレイヤーとして、エルデンリングの世界を冒険する |
| Super Mario Ring | スーパーマリオ64+エルデンリング | マリオの動きで、ダークファンタジーの世界を進む |
| SkyCraft | スカイリム+マインクラフト | マイクラのプレイヤーとして、スカイリムを遊ぶ |
| (VGCが紹介) | スケート3+CoD モダン・ウォーフェア2 | スケートボードの動きを戦場に持ち込む |
一方で、反発の声もあります。VGCの同じ記事では、長年MODを作ってきた制作者たちが「2本のゲームを選ぶだけで創造性がない」「人が積み重ねた解析の成果にAIを乗せただけで敬意を欠く」と批判しています。盛り上がりと反発が同時に広がっている点も、このトレンドの特徴です。
03仕組み:MeltyとClaude Codeの役割
動画で「Melty’s instructions」として映っていたのが、米国のスタートアップStella Montisが2026年10月に公開したMelty(メルティ)です。公式サイトでは、Y Combinatorの支援を受けていることを明記しています。Windows用の無料アプリで、融合MODを探す・遊ぶ・作るの3つをまとめて扱えます。
Meltyのよくある質問には、仕組みの要点がまとまっています。マッシュアップは「複数のゲームを1つに統合するMOD」で、遊ぶには元のゲームを持っていることが前提です。


利用規約にも大事な一文があります。第5条で、Meltyはゲームを販売も貸与もせず、ゲームの利用は各パブリッシャーとストアの規約に従うと定めています。第7条では、公開した内容の責任はすべて公開した本人が負うとしています。

04Claude Codeとは?料金と使えるプラン
Claude Codeは、ターミナルなどで動くAnthropicのコーディング用AIです。「こういうものを作って」と日本語で頼むと、ファイルの作成、コードの実行、修正までを自分で進めます。Meltyの指示文は、このClaude Codeに「どの手順でゲームを調べ、どうつなぐか」を教える説明書の役割を持っています。

| プラン | 月額(税込) | Claude Code | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| Free | $0 | 使えない | チャットで試したい人 |
| Pro | $22(年払いなら月$18) | 使える | 小さなゲームやツールを作りたい人 |
| Max | $110から | 使える | 長時間の開発を毎日する人 |
この記事の実演は、Proプランで行いました。Claude Codeの始め方はClaude Codeの使い方 超入門で詳しく解説しています。
05線引き① 日本の著作権法
ゲームのプログラム・映像・音楽・キャラクターの絵は、どれも著作物です。そのうえで著作権法には、個人で楽しむための例外が用意されています。ポイントは3つです。
個人や家庭内で使う複製・改変は認められる
著作権法第30条第1項は、個人や家庭内などの限られた範囲で使う目的なら、使う本人が複製できると定めています。第47条の6第1項第1号により、この場合は翻案(改変)もできます。さらに第20条第2項第3号は、プログラムをコンピュータで動かすために必要な改変を、同一性保持権の例外にしています。自分のPCで、自分だけが遊ぶための改造は、この枠組みで考えるのが基本です。

コピーガードを外すと、個人利用でも例外から外れる
同じ第30条第1項第2号は、技術的保護手段を回避して行う複製を、私的使用の例外から外しています。ゲームの暗号化やコピーガードを外す工程が入ると、自分だけで遊ぶ目的でも違法になる可能性があります。回避のための装置やプログラムを提供する行為は、不正競争防止法でも規制され、刑事罰の対象です。
解析は認められても、遊ぶ目的とは切り分けられる
第30条の4は、著作物を「楽しむ」目的ではない利用を広く認めています。文化庁は、プログラムの解析(リバースエンジニアリング)もこれに当たり得ると説明しています。ただし文化庁の考え方では、楽しむ目的が少しでも混ざる利用は、第30条の4の対象外です。融合MODはゲームを遊ぶために作るものなので、この条文には頼れないと考えておくのが安全です。

私的使用のために作った複製物を人に配ったり、ネットで公開したりすると、著作権法第49条により、その時点で複製を行ったものとみなされます。改造したゲームデータのアップロード、AIで作ったコピー版の無料公開・販売は、公衆送信権や複製権の侵害になります。
06線引き② ゲーム会社のルール
法律とは別に、ゲームを買うときに同意する利用規約やMODのガイドラインがあります。規約違反は契約上の問題として、アカウント停止や削除要請、損害賠償の根拠になります。会社によって姿勢は大きく違います。
マインクラフト:MODの作成・配布を明確に認めている
マインクラフトの公式ガイドラインは、MODを「機能を拡張するオリジナルのプラグイン」と定義しています。ゲームの著作権で保護されたコードやコンテンツの重要な部分を含めず、改造版のゲームではなくMODだけを配布するなら、作成・使用・配信ができます。

Rockstar Games(GTA):他社作品を混ぜる改造をはっきり禁止
動画のサムネイルに使われていたGTA×スパイダーマンの組み合わせは、Rockstar Gamesのルールに正面からぶつかります。2026年9月10日付の「Mod Guidelines」は、次の行為を禁止しています。
- Rockstarのあるタイトルのマップ・キャラクター・素材を、別のタイトルに持ち込む改造
- アート・キャラクター・音楽・ゲームなど、他者の知的財産の保護された要素をMODに使うこと
- 公式の制作者向けプラットフォーム以外でのマルチプレイ改造と、収益化

| 確認する点 | マインクラフト | Rockstar(GTAなど) | Melty |
|---|---|---|---|
| MODの作成 | 条件つきで可 | 規約の範囲で可 | 可 |
| 他社作品との混在 | 他社の権利に従う | 禁止 | 権利を持つものだけ公開可 |
| ゲーム本体の配布 | 禁止(MODのみ配布) | 禁止 | ゲームは提供しない |
| 販売・収益化 | 公式の仕組みのみ | 公式プラットフォームのみ | 無料で配布 |
| オンライン利用 | サーバーの規約次第 | 公式以外は不可 | 対戦での不正は禁止 |
各社の公式ガイドライン・利用規約の記載をもとに整理。規約は予告なく変わるため、遊ぶ前に最新版を確認してください。
07線引き③ オンライン対戦とアカウント
融合MODでいちばん事故が起きやすいのが、オンラインです。Meltyの利用規約は、同意していない相手とのオンライン対戦で不正をすることを禁止しています。Rockstarも、公式の仕組みを妨げるチートメニューの作成・共有・使用を禁止しています。
- 不正対策のシステムを備えたゲームでは、改造データの検知がペナルティやアカウント停止につながります。
- 相手がいる対戦では、相手の楽しみまで壊してしまいます。
- 規約違反を理由に、作ったMODの削除を求められることもあります。
Meltyのマルチプレイは、招待リンクで仲間を呼ぶ仕組みで、公開ロビーも作れます。融合MODは、オフラインか、全員が同意した仲間内の場で楽しむのが原則です。
08線引き④ Claudeの利用ルール
Claude自体にも守るべきルールがあります。Anthropicの利用ポリシーは、第三者の知的財産権を侵害する目的での利用を禁止しています。AIは頼まれたコードを書けますが、その使い道に責任を持つのは、使う人です。

| Claude Codeへの頼み方 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 自作の2本のゲームを融合して | 問題なし | 権利がすべて自分にある |
| マイクラのMODを、オリジナルの素材で作って | 問題なし | 公式ガイドラインがMODを認めている |
| 2本の市販ゲームを自分のPCでつないで | 規約を確認 | 会社によっては他社作品との混在を禁止 |
| 暗号化やコピーガードを外して | 違法の可能性 | 私的使用の例外から外れる |
| ゲームをまるごと再現したコピー版を作って配って | 違法 | 複製権・公衆送信権の侵害 |
09ひと目で分かる判定表
ここまでの内容を、3つのゾーンにまとめます。迷ったら、自分がどのゾーンにいるかを確認してください。
| 行為 | 判定 | 根拠 |
|---|---|---|
| 自作ゲーム2本をClaude Codeで融合し、公開・販売する | 合法 | 権利がすべて自分にある |
| マイクラJava版で、オリジナル素材のMODを作り無料で配る | 合法 | Minecraft使用ガイドライン |
| 購入済みの市販ゲーム2本を、自分のPCだけで融合して遊ぶ | 規約次第 | 著作権法第30条(私的使用)。Rockstarなどは他社作品との混在を禁止 |
| 融合MODをオンライン対戦で使う | 規約違反のおそれ | Melty利用規約、各社の不正対策 |
| 暗号化・コピーガードを外して改造する | 違法の可能性 | 著作権法第30条第1項第2号、不正競争防止法 |
| ゲームのデータを含む融合版をアップロードする | 違法 | 著作権法第49条、公衆送信権 |
| AIで再現したコピー版を無料公開・販売する | 違法 | 複製権・公衆送信権の侵害 |
10実演:Claude Codeで自分だけのマッシュアップを作る
線引きが分かったところで、緑のゾーンで実際に作ってみました。題材は、他社の素材を1点も使わない、オリジナルのゲーム2本です。まず1本ずつ作り、最後に2本を融合します。使ったのはMacのターミナル、Claude Code v2.1.296、モデルはOpus 5.5、Proプランです。
掘って宝石を集めるゲームを作る(作成時間:3分45秒)
隕石を撃つシューティングを作る(作成時間:3分17秒)
2本を融合する(作成時間:5分14秒)

1本目と2本目:それぞれ単体で遊べるゲームに


2本目の完成時、Claude Codeは「指示にはありませんでしたが、上下の矢印キーでも動けるようにしました」と、自分の判断で加えた機能を報告してきました。頼んでいない変更をきちんと申告してくれる点は便利です。同時に、AIが作ったものは人が中身を確認する前提で使うべきだと分かる場面でもあります。

3本目:2本のルールが1つのゲームに
融合版の「ディグ・ブラスター」では、採掘マシンが地下を掘り進めながら、空から降ってくる隕石を撃ち落とします。宝石・ライフ・制限時間のルールは両方から引き継がれました。Claude Codeは「地下からも撃てるように弾は土を通り抜ける」「隕石が出る0.8秒前に赤い!マークを出す」など、融合ならではの調整を自分で決め、その理由まで説明しています。



- オリジナル同士なら、アイデアを日本語で伝えるだけで、約12分で融合ゲームまで完成しました。
- 3本ともブラウザでそのまま動き、操作中のエラーは0件でした。
- 権利がすべて自分にあるので、公開も販売も自由です。
11公開・配布の前のチェックリスト
作ったものを人に見せたくなったら、公開ボタンを押す前に次の項目を確認してください。
- 画像・音・キャラクター・コードに、他社の素材が入っていないか
- 市販ゲームのMODなら、その会社のMODガイドラインで混在と配布が認められているか
- ゲーム本体のデータではなく、MODのファイルだけを配っているか
- 暗号化やコピーガードを外す工程が入っていないか
- オンライン対戦や他人がいるサーバーで使う設計になっていないか
- 名前やロゴで、公式の作品だと誤解させていないか
- 有料にするなら、権利者が認めた販売方法か
Claude Codeでの作業そのものを安全に進める工夫は、Claude Code Modsの解説記事でも紹介しています。
12AIのプロとしての見解
AQUAとして日々AIで開発をしている立場から見ると、この流行のいちばんの変化は、2つのシステムをつなぐ「橋渡しのコード」の値段が、ほぼゼロになったことです。以前なら専門家が数か月かけていた解析と接続が、指示文1枚で動き始めます。実演でも、ルールの統合や難易度の調整まで、AIが自分で考えて実装しました。
その分、価値の中心は「何を混ぜるか」というアイデアと、「混ぜてよいか」という権利の確認に移りました。技術の壁が下がるほど、ルールを知っている人と知らない人の差が大きく開きます。動画が言うとおり、技術的にできることと法的に許されることの距離は広がる一方です。
- 自分の作品同士を混ぜる:権利の心配がなく、公開も販売もできる、いちばん自由な遊び方です。
- 公式がMODを認めるゲームで作る:マインクラフトのように、ルールが明文化されているゲームから始めると安心です。
- 生成されたコードは読む:AIは頼んでいない機能も足します。何が入ったかを把握してから公開しましょう。
今後は、ゲーム会社が公式に「混ぜてよい素材」を用意したり、公認の融合企画を出したりする動きも考えられます。AIで誰でも作れる時代だからこそ、権利者と作り手がうまく共存できる形が、ゲームの新しい楽しみを広げていくはずです。AIで建築を楽しむ例は、マイクラ×AIで自分だけの拠点を設計した記事でも紹介しています。
13よくある質問
公式サイトは英語で、Windows版を無料で配布しています。対応しているのはWindowsです。利用規約は米国デラウェア州法に基づいており、未成年は保護者の許可が必要です。
著作権法上は、自分のPCで個人的に遊ぶ範囲なら私的使用として扱える場合があります。ただし、ゲーム会社の規約は別です。RockstarのMODガイドラインのように、他社作品との混在を禁止している会社もあります。
Claude Codeを使えるのは、Proプラン以上の有料プランです。費用をかけずに試す方法はClaude Codeを完全無料で使う方法も参考にしてください。
動画配信のルールも会社ごとに決まっています。たとえばマインクラフトは、動画を無料で視聴できることなどを条件に、動画での収益化を認めています。遊ぶゲームそれぞれのガイドラインを確認してください。
すべての素材とコードの権利が自分にあれば、販売できます。実演のように、他社の素材を使わずに作ることが条件です。
★まとめ
AIマッシュアップは、MeltyとClaude Codeの組み合わせで、2本のゲームを誰でも融合できるようにした新しい遊び方です。
合法:自分の作品同士の融合、公式が認める範囲のMOD作り。
規約次第:市販ゲーム同士を自分のPCで融合して遊ぶこと。
違法:ゲームデータの配布・販売、コピー版の公開、コピーガードの回避。
線を越えないコツは、「作る」より先に「混ぜてよいか」を確認することです。
この記事は2026年10月時点の公式情報をもとにした一般的な解説です。具体的な公開や販売を検討する場合は、各社の最新の規約を確認し、必要に応じて弁護士に相談してください。
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参考文献・情報源
- TikTok「ベン•ゼイン[公式]」投稿動画「ゲーム2つ混ぜて遊ばせるトレンドが面白すぎる」 https://www.tiktok.com/@ben_zain_/video/7696085287495044372
- Melty 公式サイト https://melty.gg/
- Melty Terms of Service(2026年10月6日更新) https://melty.gg/terms
- Video Games Chronicle「AI game mashup videos on social media spark debate and backlash among players and modders」(2026年10月5日) videogameschronicle.com
- Claude 料金ページ https://claude.com/ja/pricing
- Anthropic Usage Policy https://www.anthropic.com/legal/aup
- e-Gov法令検索 著作権法 https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048
- 文化庁「デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定に関する基本的な考え方」 https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/1422075.html
- 経済産業省 不正競争防止法 https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/
- Minecraft 使用ガイドライン https://www.minecraft.net/ja-jp/usage-guidelines
- Rockstar Games Mod Guidelines(2026年9月10日) https://www.rockstargames.com/community-resources/mod-guidelines