「短く」「表にして」「やさしい言葉で」。AIに何かを頼むたびに、同じ注文を打ち直していませんか。Geminiの新機能「スキル」を使うと、そのいつもの注文を一度だけ保存して、次からは@ひとつで呼び出せます。
第1弾の「Geminiが『自分専用』に変わる新機能『Skills』とは?」では、発表された内容を紹介しました。第2弾では、使えるようになったスキルをAQUAで実際に作って試し、スキルがあるときとないときの答えを並べて比べました。真似するだけですぐ使える手順と、11月17日に始まるGemsの移行前に確かめておきたいことをまとめます。
- スキルは無料プランのGeminiでも作れて、使えます。条件は18歳以上・ログイン・[アクティビティの保存]オンの3つです。
- 作り方は[カスタマイズ]→[スキル]→[作成]。名前・説明・指示の3つを書くだけです。
- 呼び出しは入力欄で@。頼み方が合えば、何も選ばなくてもGeminiが自動で使います。
- Gemsを使っている人は、11月17日から自動で移行が始まります。大切なGemは中身を控えておきましょう。
01スキルって何? 「いつもの注文」を覚えてくれる機能
スキルは、行きつけのお店の「いつもの」に近い機能です。お店で毎回「麺は硬め、ネギ多め」と言わなくても「いつもの」で通じるように、Geminiに自分好みの頼み方を覚えてもらえます。
Googleの公式ヘルプは、スキルを「チャットやタスクに使用できるカスタム指示」と説明しています。できることは大きく3つです。

画面を開くと、Googleが用意した推奨スキルが5つ並んでいます。「会議の準備」「多様な視点の提示」などは+を押すだけで追加できるので、まず1つ試してみるのもおすすめです。
- 18歳以上であること
- Geminiアプリにログインしていること
- [アクティビティの保存]がオンになっていること
使える場所は、gemini.google.comのウェブ版、スマホのGeminiアプリ、MacのGeminiアプリです。AQUAで試した無料プランのアカウントでも、作成から利用まで問題なくできました。
023ステップで作ってみよう
ここでは、多くの家庭で毎日のように生まれる「今日の夕飯どうしよう?」を例に、スキルを1つ作ります。

実際に作ったスキルがこちらです。名前は日本語でも保存できました。

・調理時間は30分以内。フライパンか電子レンジで作れる料理を優先する・子どもも食べやすい味付け(辛さ控えめ)にする・伝えられた残り物をできるだけ使い切る・候補は3つ。「料理名・調理時間・使う材料・買い足す材料」の表にする・最後に、いちばんおすすめの1品の作り方を5ステップ以内で書く
保存すると、[スキル]画面の「有効」の欄に表示されます。有効になっているスキルは、関係のある会話でGeminiが自動で使います。

書くのが苦手なら[Geminiで作成]
文章を考えるのが面倒なときは、[Geminiで作成]が便利です。会話の画面が開くので、作りたいスキルを普段の言葉で伝えるだけで、Geminiが名前・説明・指示を書いて保存まで進めてくれます。最初の質問が英語で表示された場合は、「日本語でお願いします」と添えて頼むと、日本語で進みます。

ほかのAIサービスで作ったスキルも、SKILL.mdという共通形式のファイルなら[アップロード]で読み込めます。公式ヘルプによると、アップロードで作る方法は現在、ウェブ版とMacアプリで使えます。
03呼び出し方は「@」ひとつ
スキルを確実に使いたいときは、入力欄に@を入力します。すると、作ったスキルの一覧が表示されるので、選ぶだけで呼び出せます。


発表時は「/」で呼び出す案内でした。公式ヘルプには「近日中に『@』に変更予定」と書かれていますが、AQUAで確かめたGeminiの画面では、入力欄にすでに「コネクタやスキルなどを指定するには『@』を入力します」と表示され、「@」で呼び出せる状態でした。切り替えの時期はアカウントによって前後する可能性があります。あなたの画面の入力欄に出ている案内に合わせて使いましょう。
もう1つの使い方が自動での使用です。@で選ばなくても、頼み方がスキルの「説明」に合っていれば、Geminiが自分でスキルを使います。次の章で、その様子を詳しく見ていきます。
04実際に比べた! スキルなしとスキルありの違い
同じお願いを、スキルを一時的に無効にした状態と、有効にした状態で送り、答えを比べました。どれも、生活の中で何度も繰り返す場面です。
例1:今日の献立|「@」なしでも自動で使われた
送ったのは「冷蔵庫に鶏むね肉、キャベツ、卵、玉ねぎがあります。今日の夕飯どうしよう?」という一文だけです。スキルを選ばずに送っても、Geminiは「今日の献立」スキルを自動で使いました。


スキルなしの答えも内容は丁寧ですが、調理時間が分からず、最後は「使いたい調味料はありますか?」という質問で終わりました。スキルありでは、15〜20分で作れる3品が表で並び、おすすめ1品の作り方が5ステップで続きました。忙しい夕方に、知りたいことが一目で分かる形です。
例2:感じのいい返信|長さと雰囲気がそろう
次は、断りにくいお誘いへの返事です。「ママ友から今週末のバーベキューに誘われたけど、子どもの習い事の発表会があって行けません。断りのLINEを考えて」と頼みました。スキルありのほうは@で「感じのいい返信」を選んでいます。
・丁寧だけど堅すぎない、やわらかい話し言葉にする・最初にお礼か気づかいの一言を入れる・断るときは理由を短く添え、次につながる一言で終える・LINEは3〜4行、メールは件名つきで7行以内・「短め」「少し丁寧」の2案を出し、そのままコピーできるようにする・絵文字は使わない


スキルなしの答えは、気持ちのこもった3パターンに加えて「送信時のポイント」まで付く、親切ですがボリュームのある内容でした。スキルありは4行ずつの2案だけ。どちらもそのまま送れる長さで、自分の言葉づかいに近いほうを選ぶだけです。返事の雰囲気を毎回そろえたい人ほど、効果を感じやすい使い方です。
例3:お便りを3行に|「やること」だけが残る
最後は、学校のお便りです。下の文は例として用意した架空の遠足のお知らせで、あいさつ文に続いて、日時・集合・持ち物・費用・連絡事項が並んでいます。これを貼り付けて「このお便り教えて」と送りました。こちらも@なしで、[Geminiで作成]で作ったお便り要約のスキルが自動で使われました。


スキルなしの答えは、お便りの中身をすべて項目ごとに並べ直していて、全体を確かめるのに向いています。スキルありでは、「バス代800円を11月7日(金)までに」のように、保護者がやることと期限が先に目に入ります。冷蔵庫に貼るメモのような使い方にぴったりです。
スキルありの答えでは、「当日の朝7時に実施の有無をメールで確認する」が要点の中に入り、「やること」の欄には入りませんでした。スキルは答えの形を整えるのが得意ですが、何を「やること」と考えるかは、指示の書き方で変わります。指示に「当日に確認することも、やることに入れる」と1行足せば、次から抜けにくくなります。日付や金額は、最後に元のお便りでも確かめましょう。
2つのスキルを続けて使う
スキルの本領は、組み合わせたときに出ます。お便りをまとめた同じ会話の中で、続けて@感じのいい返信を選び、「子どもに卵アレルギーがあるので、このお便りについて担任の先生へ連絡帳で伝える文を書いて」と頼みました。

「お便りを読む→やることを知る→先生に連絡する」という流れが、1つの会話の中で完結しました。まとめるスキルと書くスキルを分けて作っておくと、こうして自由につなげられます。
05思いどおりに動かすコツと管理のしかた
公式ヘルプは、よいスキルを作るコツとして「使うタイミングを具体的に書く」「指示を簡潔にする」「出力の例を入れる」の3つを挙げています。実際に作ってみて、次の3点が特に効きました。
作ったスキルは、[スキル]画面で名前の横の「…」から管理します。メニューには、すぐに使う、Geminiと相談しながら直す、自分で直す、ダウンロード、置き換え、無効にする、削除が並んでいます。

作れるスキルの数に上限はなく、一度に有効にできるのは100個までです。思わぬ場面でスキルが使われるときは、説明文をより具体的に直すか、いったん無効にしましょう。なお、公式ヘルプによると、Canvas、Deep Research、動画や音楽の作成、ガイド付き学習とは、現時点では一緒に使えません。
最初から何十個も作るより、あなたが週に何度も打っている「お願い」を3つ選んでスキルにするのが近道です。献立、返信、お知らせのように、毎回同じ注文を付けているものほど効果がはっきり出ます。スキルの指示には、住所や口座番号など人に見せたくない情報を書き込まず、答えの形や好みだけを書きましょう。スキルを使うには[アクティビティの保存]をオンにする必要があるので、会話がアカウントに保存されることも覚えておくと安心です。
06Gemsを使っている人は11月17日までに確認
これまで、指示を保存しておく機能として「Gems」がありました。Googleは、Gemsをスキルへ移す方針を発表しています。Gemsの画面には、次のお知らせが表示されています。

Gemは自動でスキルに移されますが、移行の前に、あなた自身で次の3つを確かめておくと安心です。
早めにスキルへ切り替えたい場合は、[新しいスキルを作成]でGemの名前・説明・指示を貼り付ければ、自分で作り直せます。Workspaceの仕事用アカウントのスキルは「当面延期」とGoogleが案内しており、新しい日程の発表待ちです。
07困ったとき(よくある質問)
08まとめ:あなたの「いつもの」をGeminiに覚えてもらおう
- スキルは、毎回伝えている注文を保存して使い回す機能。無料プランでも使えます。
- 作り方は[カスタマイズ]→[スキル]→[作成]。説明には「いつ使うか」、指示には「どう答えるか」を書きます。
- 呼び出しは「@」。頼み方が合えば自動で使われ、複数のスキルも続けて使えます。
- Gemsは11月17日から自動移行。大切なGemの指示とファイルは控えておきましょう。
実際に比べてみると、スキルの価値は「賢くなる」ことよりも、あなた好みの形で毎回そろうことにありました。まずは、今週あなたが何度も打った「お願い」を1つ思い出して、スキルにしてみてください。次からは@ひとつで、その手間がまるごと省けます。