ソフトバンクの子会社が開発した日本生まれのAI「Sarashina(サラシナ)」が、2026年10月13日、誰でも無料で試せるようになりました。Googleアカウントでログインするだけで、日本語に強いAIとすぐに話せます。
気になるのは「で、ClaudeやChatGPTと比べてどうなの?」という一点です。そこで、ご近所へのお知らせ文から京都旅行の計画、子どもの自由研究まで、暮らしの中でよくある3つのお願いを3つのAIにまったく同じ言葉で頼み、答えを並べて採点しました。
総合1位はChatGPT(15点満点)、わずか1点差の2位がClaude(14点)。Sarashinaは7点でしたが、お知らせ文では丁寧で格調のある日本語を見せ、返事の速さは3つの中でいちばんでした。
意外だったのは、差がついた場所です。勝負を分けたのは「日本語のうまさ」より「条件を最後まで守る力」でした。日本語の言い回しは3つとも合格点。旅行の移動手段や「1日でできる」という条件を守れるかどうかで、点数が大きく動きました。
01「Sarashina」ってどんなAI?
Sarashinaは、ソフトバンクの子会社であるSB Intuitions(エスビー・インテュイションズ)が開発している大規模言語モデルです。公式サイトでは「日本語に強い 国産の大規模言語モデル」と紹介されていて、日本語のデータを重点的に学習させている点が最大の特徴です。

2026年10月13日に始まった「Sarashinaサービス」の無償ベータ版では、ブラウザで使えるチャット機能と、アプリやシステムに組み込めるAPI機能の2つが公開されました。チャットでは対話と日英・英日翻訳が使え、APIでは用途の違う6つのモデルを呼び出せます。

Sarashinaは「チャットで気軽に試せる」と「自社サービスに組み込める」を同時に無料で開放しました。個人は日常のAIとして、企業や開発者は国産モデルを組み込む前の検証用として、それぞれ使い道があります。
02使い始めは30秒。必要なのはGoogleアカウントだけ
申し込みや審査はなく、手順は次の3つだけです。
公式サイト(sarashina.ai)を開き、「今すぐ無料で試す」を押す
チャット画面(chat.sarashina.ai)のログイン画面が表示されます。
「Googleで続ける」を押して、Googleアカウントでログイン
利用規約とプライバシーポリシーへの同意を確認して進みます。
画面下の「Sarashinaに相談」に質問を入力
左のメニューの「翻訳」を選ぶと、日英・英日の翻訳画面に切り替わります。


- 無償ベータ版の提供終了時期は未定と発表されています。
- チャット画面の下には「入出力データを学習に使用します」と明記されています。名前・住所・電話番号などの個人情報や、社外秘の内容は入力しないのが安心です。
03日本語を「ギュッと詰める」工夫が強さの秘密
Sarashinaの公式サイトで目を引くのが、トークナイザの比較です。トークナイザとは、AIが文章を読むときに文字を区切る仕組みのこと。区切りの数(トークン数)が少ないほど、同じ文章を速く、安く処理できます。

日本語Wikipedia(約19億文字)を区切ると、米国モデルAは14億、米国モデルBは12億、Sarashina3は9.5億トークン。日本語をより少ない区切りで読めることは、返事の速さとAPIの利用コストの両方に効いてきます。実際、今回の対決でも、Sarashinaはほとんどの質問に数秒で答えを返しました。
04対決のルール:同じ言葉で、3つのお願い
比べたのは次の3つです。ClaudeとChatGPTはAQUAで契約している有料プランで、それぞれの標準的な設定を使いました。
- 開発:SB Intuitions(日本)
- 標準モデル:Sarashina3 mini(公式サイトの紹介)
- 料金:無料
- 開発:Anthropic(米国)
- 考える深さ:標準(中)
- 無料プランあり
- 開発:OpenAI(米国)
- 思考量:Medium(標準)
- 無料プランあり
お願いは「文章を書く」「調べて計画する」「子育てを手伝う」の3分野から1つずつ選びました。採点は1戦につき5点満点で、「頼んだ条件を守れているか」「そのまま使える完成度か」「日本の暮らしの常識に合っているか」の3点で評価しています。同じ質問を1回ずつ入力した結果なので、AIの答えは聞くたびに少し変わる点も頭に置いて読んでみてください。
05暮らしの3番勝負






最も差がついたのがこの勝負です。ChatGPTはウェブ検索で京都府観光連盟や京都市の公式情報を確かめ、冒頭で「移動はすべて電車と徒歩で」と条件を確かめ、時間表に加えて拝観料と予算の目安、混雑や服装の注意までそろえたうえで、「紅葉の見頃に合わせて調整したいので、上旬・中旬・下旬のどれか教えてください」と聞き返してきました。旅行代理店の担当者のような対応です。


Claudeは移動の向きに無駄がなく、鍵善良房や出町ふたばの定休日、豆餅が夕方に売り切れやすいことまで添えていました。Sarashinaも検索で多くのサイトを参照しましたが、条件にない市バスを使い、祇園にある「茶寮都路里」を清水寺の境内の店として案内していました。




Claudeは「10円玉をピカピカにするのはどれ?」「氷が一番早くとけるのはどこ?」「野菜や果物は水にうく?しずむ?」の3つを、4年生の理科で習う内容と結びつけて提案。酢やレモン汁を使うときは大人がそばにいるように、という安全の一言も添えました。ChatGPTは比較表と一番のおすすめまで示し、親子で選びやすい形です。

Sarashinaの1つ目の「塩水と真水で浮くもの・沈むもの」と2つ目の「紙飛行機」は良いテーマでしたが、3つ目の発芽の観察は数日以上かかるため「1日でできる」という条件から外れていました。
06延長戦:AIの「もっともらしい間違い」を見抜くには
おまけとして、答えがはっきり決まっている質問で正確さも確かめました。「『枕草子』の作者と、その作者が仕えた人物の名前を教えてください。」と聞くと、3つとも「清少納言」「藤原定子(中宮定子)」と正しく答えています。Claudeは「一条天皇の中宮(のちの皇后)」と、立場の変化まで添えていました。よく知られた事実なら、どのAIも頼りになります。
一方で、第2戦の「店の場所」のように、細かな固有名詞や最新の営業情報は、どのAIでも間違いが混ざることがあります。AIで調べた架空の裁判例がそのまま本に載り、出版社が回収したというニュースも報じられました。暮らしで使うときは、次の3つを習慣にすると安心です。
- 出典を聞く:「その情報の公式サイトはどこ?」と一言添える。ChatGPTやSarashinaの検索機能のように、参照先を示す答えは確かめやすくなります。
- 条件を読み返す:「電車と徒歩で」「1日で」など、自分が出した条件が守られているかを最後にチェックする。
- お金と予定が絡むものは公式で確認:営業時間、定休日、料金、申し込みの締め切りは、必ずお店や役所の公式情報で確かめる。
07結果発表:意外な結末
| 対戦 | Sarashina | Claude | ChatGPT |
|---|---|---|---|
| 第1戦 お知らせ文 | 3 | 5 | 5 |
| 第2戦 京都コース | 2 | 4 | 5 |
| 第3戦 自由研究 | 2 | 5 | 5 |
| 合計(15点満点) | 7 | 14 | 15 |
総合1位はChatGPTの満点、2位のClaudeとはわずか1点差でした。そして、Sarashinaの点数を下げた原因を振り返ると、意外な結末が見えてきます。
Sarashinaが失点したのは「日本語」ではなく「条件」でした。お知らせ文の日本語は丁寧で格調があり、返事は3つの中でいちばん速かったのです。
一方、「電車と徒歩で」「1日で」という細かな条件を最後まで守る力では、ClaudeとChatGPTが一枚上手でした。AIの実力差は、言葉の上手さよりも、頼まれごとの「前提」をどこまで読み取れるかに表れます。
3つのAIの通信簿
083つのAI、それぞれの得意分野
09あなたに合うのはどれ? 使い分けチャート
おすすめは「1つに決めない」使い方です。思いついたことをSarashinaに気軽に投げ、仕上げたい文章はClaudeに、調べものはChatGPTに。3つとも無料で始められるので、同じ質問を並べて聞くだけで、答えの確かさがぐっと上がります。
10安心して使うための3つの約束
個人情報と仕事の秘密は入れない
Sarashinaの無償ベータ版は、入出力データを学習に使うと明記しています。ClaudeとChatGPTは、設定画面で会話を学習に使うかどうかを選べます。
大事な情報は公式で確かめる
店の営業日、料金、役所の手続きは、最後に公式サイトで確認します。
回数の上限を知っておく
Sarashinaにはレート制限があり、たくさん使うと一時的に待つ時間が生まれます。急ぎの作業は複数のAIを使い分けるとスムーズです。
11AIのプロとしての見解:国産AIの本当の価値
今回の点数では、Sarashinaは伸びしろの大きい挑戦者という位置づけです。そして私は、この公開をとても前向きに受け止めています。
理由は3つあります。1つ目は、日本語を効率よく扱う技術です。同じ文章を少ないトークンで読めることは、企業が大量の日本語文書をAIで処理するとき、速さとコストの両面で効いてきます。2つ目は、データを国内で管理できる選択肢が増えること。行政や医療、金融のように、データの置き場所が重視される分野では大きな意味を持ちます。3つ目は、競争が生まれることです。日本語に強いAIが無料で登場すれば、海外のAIも日本語の品質にさらに力を入れるはずです。
今回の対決で見えた差は、日本語の上手さよりも、条件を守り、先回りして気を配る「仕事の丁寧さ」でした。ここはモデルの改良で伸びやすい部分です。ベータ版の今こそ、皆さんが実際に使って感じたことを届けると、国産AIはもっと暮らしに役立つ存在に育っていきます。
12よくある質問
はい。2026年10月13日に始まった無償ベータ版は、チャットもAPIも無料です。一定時間あたりの回数に上限があり、提供終了時期は未定と発表されています。
ブラウザで使うサービスなので、スマホのブラウザからchat.sarashina.aiを開き、Googleアカウントでログインすれば使えます。
どちらも無料プランがあり、同じ質問を入力して比べられます。今回の比較では有料プランの標準設定を使ったため、無料プランでは使えるモデルや回数が変わります。
無償ベータ版は入出力データを学習に使うと明記しているため、社外秘の文書や個人情報は入れずに使うのが安心です。
文章の仕上げを任せたいならClaude、調べものが多いならChatGPT、まず無料で日本語のAIを体験したいならSarashinaがおすすめです。
13まとめ:日本生まれのAIが、選択肢を広げた
- Sarashinaは、ソフトバンク子会社のSB Intuitionsが開発した日本語に強いAI。2026年10月13日から無料で使えるようになりました。
- 暮らしの3番勝負の結果は、ChatGPT 15点、Claude 14点、Sarashina 7点(15点満点)。
- 差がついたのは日本語の自然さより、「条件を最後まで守る力」でした。
- Sarashinaの強みは速さ・無料・翻訳・日本語の効率。Claudeは気配り、ChatGPTは調べものが得意です。
- 大切な情報は公式サイトで確認し、個人情報は入れないのが安心な使い方です。
同じ質問でも、AIによって答えの個性ははっきり違います。まずは3つのAIに、皆さんの毎日の「ちょっと困った」を同じ言葉で聞いてみてください。自分にぴったりの相棒が、きっと見つかります。
参考リンク
- SB Intuitions プレスリリース「国産生成AI『Sarashina』を利用できる『Sarashinaサービス』の無償ベータ版を提供開始」(2026年10月13日):https://www.sbintuitions.co.jp/news/press/20261013_01/
- Sarashina 公式サイト:https://sarashina.ai/
- Claude:https://claude.ai/
- ChatGPT:https://chatgpt.com/