2026年2月5日、Anthropicは最新フラッグシップモデル「Claude Opus 4.6」を正式リリースしました。
前モデルClaude Opus 4.5から大幅に進化したこのモデルは、複数AIが同時並行で作業する「Agent Team」、100万トークンのコンテキストウィンドウ、状況に応じて思考の深さを自動調整する「Adaptive Thinking」など、AIの概念を根本から変える新機能を搭載しています。
さらに衝撃的なのは、リリース前のテストでオープンソースコードから500件以上の未知のゼロデイ脆弱性を発見したことです。
本記事では、公式情報と海外メディアの報道を徹底的に調査し、Claude Opus 4.6の全貌を解説します。
目次
- Claude Opus 4.6とは?基本スペックまとめ
- 5つの革新的な新機能
- Agent Team(エージェントチーム)の仕組み
- Adaptive Thinking(適応的思考)とは
- 100万トークンコンテキストウィンドウ
- ベンチマーク徹底比較:GPT-5.2・Gemini 3 Proとの差
- 料金体系:API・サブスクリプション完全解説
- 500件のゼロデイ脆弱性を発見した衝撃
- PowerPoint・Excel・GitHub Copilot連携
- 企業導入事例:金融・法務・開発の現場から
- Claude Opus 4.6を使うべき人・使わなくていい人
- まとめ:AIは「ツール」から「同僚」へ
1. Claude Opus 4.6とは?基本スペックまとめ
Claude Opus 4.6は、Anthropicが開発するClaude AIファミリーの最上位モデルです。2026年2月5日にリリースされ、APIおよびclaude.aiで即座に利用可能になりました。
基本スペック一覧
| 項目 | Claude Opus 4.6 | Claude Opus 4.5(前モデル) |
|---|---|---|
| モデルID | claude-opus-4-6 |
claude-opus-4-5-20251101 |
| リリース日 | 2026年2月5日 | 2025年11月24日 |
| コンテキストウィンドウ | 200K(標準)/ 1M(ベータ) | 200K |
| 最大出力トークン | 128K | 64K |
| Adaptive Thinking | 対応 | 非対応 |
| Agent Team | 対応(リサーチプレビュー) | 非対応 |
| Context Compaction | 対応(ベータ) | 非対応 |
| API入力料金 | $5/100万トークン | $5/100万トークン |
| API出力料金 | $25/100万トークン | $25/100万トークン |
注目ポイント: 価格はOpus 4.5と完全に同一です。つまり、同じコストで大幅に高い性能を得られるということです。さらにOpus 4.1時代の$15/$75から比較すると、3分の1の価格で最高性能を利用できます。
利用可能なプラットフォーム
- claude.ai(Web・iOS・Android・デスクトップ)
- Anthropic API
- Amazon Bedrock
- Google Cloud Vertex AI
- Microsoft Azure Foundry
- GitHub Copilot(Pro/Pro+/Business/Enterpriseプラン)
- Snowflake Cortex AI
2. 5つの革新的な新機能
Claude Opus 4.6には、AIの使い方を根本から変える5つの新機能が搭載されています。
| 新機能 | 概要 | ステータス |
|---|---|---|
| Agent Team | 複数のAIエージェントがチームとして並行作業 | リサーチプレビュー |
| Adaptive Thinking | 問題の難易度に応じて思考の深さを自動調整 | 正式リリース |
| 100万トークンコンテキスト | 書籍約8冊分の情報を一度に処理 | ベータ |
| Context Compaction | 会話の自動要約で実質無限の対話を実現 | ベータ |
| 128K出力トークン | 前モデルの2倍の出力量 | 正式リリース |
以下、特に重要な3つの機能を詳しく解説します。
3. Agent Team(エージェントチーム)の仕組み
従来の限界
これまでのAIアシスタントは、どれだけ高性能でも1つのタスクを逐次的に処理するしかありませんでした。大規模プロジェクトでは、フロントエンド修正→API修正→データベース変更と順番に作業する必要があり、時間がかかっていました。
Agent Teamが解決すること
Agent Teamでは、複数のClaudeインスタンスが独立したチームメンバーとして同時並行で作業します。
仕組み:
- リードセッションが全体の作業を調整し、タスクを分割
- 各チームメイトが独立したコンテキストウィンドウを持ち、並行作業
- ファイルベースのロックシステムとGit同期でタスクを調整
- 共有リポジトリで進捗を管理
具体例: あるWebアプリケーションの大規模リファクタリングの場合
- エージェントA: フロントエンドのReactコンポーネント修正
- エージェントB: バックエンドAPIの設計変更
- エージェントC: データベースマイグレーション
- リードエージェント: 全体の整合性を確認し、結果を統合
サブエージェントとの違い
「従来のサブエージェントと何が違うの?」という疑問に対して、明確な違いがあります。
| サブエージェント | Agent Team | |
|---|---|---|
| 独立性 | 親セッション内で動作 | 完全に独立したセッション |
| コミュニケーション | 結果を親に返すのみ | ファイルベース/Git同期で連携 |
| コンテキスト | 親と共有 | 各自が独立したコンテキスト |
| 適したタスク | 小規模な並列処理 | 大規模プロジェクト |
| コスト | 1セッション分 | メンバー数分のトークン消費 |
注意点: Agent Teamは各メンバーが独立したインスタンスとして課金されるため、トークンコストは増加します。ただし、開発時間の大幅短縮を考慮すると、多くの場合はコスト効率が高いと言えます。
4. Adaptive Thinking(適応的思考)とは
概要
Adaptive Thinkingは、ClaudeモデルとしてOpus 4.6で初めて搭載された機能です。従来のAIモデルは全ての質問に対して同じレベルの思考を行っていましたが、Adaptive Thinkingでは問題の難易度に応じて思考の深さを自動調整します。
4つの努力レベル
| レベル | 動作 | 最適な用途 | コスト |
|---|---|---|---|
| Low | 思考をスキップまたは最小化 | シンプルなQ&A、翻訳 | 最安 |
| Medium | 適度な思考、簡単な質問はスキップ | 一般的なビジネス文書作成 | 中程度 |
| High(デフォルト) | 常に深い推論を実行 | コーディング、分析 | 高い |
| Max | 制約なしの最大限の思考 | 研究、複雑な問題解決 | 最高 |
APIでの使い方
{
"model": "claude-opus-4-6",
"thinking": {
"type": "adaptive"
}
}
推奨設定: Anthropicは、Opus 4.6では adaptive モードをデフォルトとして使用することを推奨しています。
開発者向けのメリット
- コスト最適化: 簡単な質問に無駄な推論トークンを使わない
- レスポンス速度向上: Lowモードでは応答が大幅に高速化
- 品質の担保: 難しい問題では自動的に深い思考を実行
5. 100万トークンコンテキストウィンドウ
何がすごいのか
100万トークンは、約75万語、日本語では約50万文字に相当します。これは書籍約8冊分、または100万行以上のソースコードを一度に処理できることを意味します。
長文検索性能(MRCR v2ベンチマーク)
| コンテキスト長 | Claude Opus 4.6 | Claude Sonnet 4.5 |
|---|---|---|
| 256Kトークン | 93.0% | — |
| 100万トークン | 76.0% | 18.5% |
100万トークンの長文から必要な情報を見つけ出す精度が76%。前世代のSonnet 4.5の18.5%と比較して、約4倍の精度を実現しています。
Context Compaction(コンテキスト圧縮)
100万トークンでも足りない長時間の作業には、Context Compaction機能が活用できます。
- 会話がコンテキストウィンドウの上限に近づくと、自動的に過去の会話を要約
- 重要な決定事項や参照情報は保持したまま、冗長な内容を圧縮
- 開発者は圧縮のトリガー閾値をカスタマイズ可能
- 実質的に無限の会話を維持できる
6. ベンチマーク徹底比較:GPT-5.2・Gemini 3 Proとの差
主要ベンチマーク一覧
| ベンチマーク | 測定内容 | Claude Opus 4.6 | GPT-5.2 | Gemini 3 Pro | Opus 4.5 |
|---|---|---|---|---|---|
| SWE-bench Verified | ソフトウェア工学 | 80.8% | 80.0% | 76.2% | 80.9% |
| ARC-AGI-2 | 抽象推論 | 68.8% | 54.2% | 45.1% | 37.6% |
| Terminal-Bench 2.0 | ターミナル操作 | 65.4% | 64.7% | 56.2% | 59.8% |
| OSWorld | PC操作の自動化 | 72.7% | — | — | 66.3% |
| GPQA Diamond | 大学院レベル推論 | 91.3% | 93.2% | 91.9% | 87.0% |
| BrowseComp | 情報検索 | 84.0% | — | — | — |
| τ2-bench Retail | リテール業務 | 91.9% | — | — | — |
| BigLaw Bench | 法律推論 | 90.2% | — | — | — |
| GDPval-AA | ナレッジワーク | 1,606 Elo | 1,462 Elo | — | — |
| Humanity’s Last Exam | 総合推論(ツールあり) | 53.1% | 50.0% | 45.8% | — |
分析:各モデルの強み
Claude Opus 4.6が圧倒的に強い分野:
- 抽象推論(ARC-AGI-2): GPT-5.2に14.6ポイント差、Opus 4.5からは83%の改善
- ナレッジワーク(GDPval-AA): GPT-5.2に144 Eloポイント差(勝率約70%)
- PC操作自動化(OSWorld): 72.7%で業界最高
- コーディング: SWE-benchでトップクラスを維持
GPT-5.2が強い分野:
- 数学(AIME 2025): 100%のパーフェクトスコア
- 大学院レベルの科学推論(GPQA Diamond): 93.2%
Gemini 3 Proが強い分野:
- マルチモーダル処理
- ネイティブ100万トークン対応(Claudeはベータ)
結論
2026年のAI市場は「1つのモデルが全てに最強」という時代から、各モデルが得意分野で専門化する時代に移行しています。
- コーディング・エージェント業務 → Claude Opus 4.6
- 数学・複雑な推論 → GPT-5.2
- マルチモーダル → Gemini 3 Pro
7. 料金体系:API・サブスクリプション完全解説
API料金(100万トークンあたり)
| モデル | 入力 | 出力 | バッチ入力 | バッチ出力 | 用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| Claude Opus 4.6 | $5.00 | $25.00 | $2.50 | $12.50 | 最高性能 |
| Claude Sonnet 4.5 | $3.00 | $15.00 | $1.50 | $7.50 | バランス型 |
| Claude Haiku 4.5 | $1.00 | $5.00 | $0.50 | $2.50 | 高速・低コスト |
100万トークンコンテキスト利用時のプレミアム料金
200Kトークンを超える入力を使用する場合は、プレミアム料金が適用されます。
| 項目 | 標準料金(~200K) | プレミアム料金(200K超) |
|---|---|---|
| 入力 | $5.00/100万トークン | $10.00/100万トークン |
| 出力 | $25.00/100万トークン | $37.50/100万トークン |
プロンプトキャッシュでコスト90%削減
繰り返し同じシステムプロンプトを使用する場合、プロンプトキャッシュで大幅にコストを削減できます。
| 操作 | 料金 | 倍率 |
|---|---|---|
| キャッシュ書き込み(5分) | $6.25/100万トークン | 1.25倍 |
| キャッシュ書き込み(1時間) | $10.00/100万トークン | 2倍 |
| キャッシュ読み取り | $0.50/100万トークン | 0.1倍 |
キャッシュ読み取りは通常の入力料金の10分の1。さらにバッチ処理と組み合わせれば、最大90%以上のコスト削減が可能です。
サブスクリプションプラン
| プラン | 月額 | Opus 4.6利用 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| Free | 無料 | 制限あり | 基本機能のみ |
| Pro | $20(年払い$17) | 利用可能 | 5倍の容量、優先アクセス |
| Max 5x | $100 | フルアクセス | Proの5倍の容量、Claude Code |
| Max 20x | $200 | フルアクセス | Proの20倍の容量、最高優先度 |
| Team | $20~/人(年払い) | 利用可能 | チーム協業機能(5人〜) |
| Enterprise | 要問合せ | フルアクセス | ガバナンス、セキュリティ |
8. 500件のゼロデイ脆弱性を発見した衝撃
何が起きたのか
リリース前、Anthropicのフロンティアレッドチームは、サンドボックス環境でOpus 4.6にオープンソースコードのバグ発見テストを実施しました。
与えられたのは、Pythonと脆弱性分析ツール(デバッガー、ファザー)へのアクセスのみ。特別な指示や専門知識は一切提供されませんでした。
結果
Claude Opus 4.6は、500件以上の未知の高重大度セキュリティ脆弱性を発見。全ての脆弱性は、Anthropicのチームメンバーまたは外部のセキュリティ研究者によって検証されました。
発見された脆弱性の例
- GhostScript(PDF/PostScript処理):クラッシュを引き起こす欠陥
- OpenSC(スマートカードデータ処理):バッファオーバーフロー
- CGIF(GIFファイル処理):バッファオーバーフロー
Opus 4.6の脆弱性発見アプローチ
Opus 4.6は、人間のセキュリティ研究者と同様の手法でコードを分析します:
- 過去の修正パターンを分析し、類似のバグが残っていないか確認
- 問題を引き起こしやすいコードパターンを検出
- ロジックを十分に理解し、どの入力が破壊的かを特定
安全対策
Anthropicは、この強力なサイバーセキュリティ能力の悪用を防ぐため、6つの新しいサイバーセキュリティプローブ(有害な応答を検出する手法)を開発。また、悪意のあるトラフィックを検知した場合にはリアルタイムでブロックする介入措置を導入する方針も示しています。
9. PowerPoint・Excel・GitHub Copilot連携
Claude in PowerPoint(リサーチプレビュー)
Max、Team、Enterpriseプランのユーザーが利用可能。
- PowerPoint内のサイドパネルから直接操作
- 既存のスライドマスター、フォント、レイアウトを読み取り
- 企業テンプレートに準拠したスライドを自動生成
- Excelデータからプレゼン資料を一発変換
- 密集したテキストを編集可能な図表に変換
Claude in Excel(アップデート)
- 実行前に計画を立ててから処理
- 非構造化データを取り込み、構造を自動推論
- 複数ステップの変換を一度に実行
GitHub Copilot
2026年2月5日より、GitHub CopilotでClaude Opus 4.6が一般提供(GA)開始。
- 対応プラン: Copilot Pro, Pro+, Business, Enterprise
- 対応環境: VS Code(chat/ask/edit/agentモード)、Visual Studio、GitHub.com、GitHub Mobile、GitHub CLI
- エンタープライズ: 管理者がCopilot設定でClaude Opus 4.6ポリシーを有効化する必要あり
10. 企業導入事例:金融・法務・開発の現場から
金融業界
Claude Opus 4.6は、金融分析タスクでSonnet 4.5から23ポイント以上の改善を達成。
- SEC(米国証券取引委員会)の書類調査: Finance Agentベンチマークで60.7%(業界最高)
- 税務評価(TaxEval): 76.0%
- バイオ医薬品の競合分析: 15分の自律的調査ループで85%のリコール率
Anthropicの公式ブログでは、通常シニアアナリストが2〜3週間かかる商業デューデリジェンスタスク(買収候補の評価など)を、Opus 4.6が最初のパスで正確に完了した事例が紹介されています。
法務業界
世界最大級の法律事務所Dentonsでは、Microsoft Foundry上のClaudeを活用し、文書作成、レビュー、リサーチのワークフローをグローバルに展開。
- BigLaw Benchで90.2%(Claudeモデル史上最高、40%が満点スコア、84%が0.8以上)
- 訴訟・取引の両実務領域で高精度な法律文書分析
- 統合済みの最終文書を即座に生成
- 法的、財務的、技術的なコンテンツのマルチソース分析に優れた性能
ソフトウェア開発
- 数百万行のコードベースのマイグレーションを、シニアエンジニアのように事前計画を立て、通常の半分の時間で完了
- コードレビュー中に自分のミスを検出・修正する能力(前世代の長年の弱点を克服)
- Agent Teamを使い、フロントエンド・API・データベースを並行して修正
11. Claude Opus 4.6を使うべき人・使わなくていい人
使うべき人
- 大規模なコードベースを扱う開発者: Agent Teamと100万トークンコンテキストの組み合わせは強力
- 金融・法務の専門家: GDPval-AAでGPT-5.2を大幅に上回るナレッジワーク性能
- 長時間の研究・分析タスクを行う人: Context Compactionで実質無限の対話が可能
- セキュリティ研究者: 500件のゼロデイ発見が示す脆弱性分析能力
Sonnet 4.5で十分な人
- 日常的なチャットや翻訳: Sonnet 4.5の方がコスパが良い
- レスポンス速度を最優先する場合: Haiku 4.5がベスト
- 簡単なコード生成: Sonnet 4.5でも十分な品質
- 予算が限られている場合: Sonnet 4.5は$3/$15でOpusの60%の性能
12. まとめ:AIは「ツール」から「同僚」へ
AnthropicのClaudeプロダクト責任者であるScott White氏は、Opus 4.6のリリースに際してこう述べました。
「私たちは今、”Vibe Working(バイブワーキング)”の時代に移行しようとしている」
「Vibe Coding(バイブコーディング)」が「AIにコードを書かせる」ことなら、「Vibe Working」はあらゆるナレッジワークでAIと協働することを意味します。
Claude Opus 4.6は、その理想に最も近いモデルです。
Claude Opus 4.6の5つの核心
- Agent Team: AIが「個人」から「チーム」へ進化
- 100万トークン: 本8冊分の情報を一度に理解
- Adaptive Thinking: 無駄なコストを自動削減
- 500件のゼロデイ発見: AIセキュリティ研究の夜明け
- 同価格で大幅な性能向上: $5/$25はOpus 4.5と同じ
AIは「ツール」から「同僚」へ。Claude Opus 4.6は、その転換点を象徴するモデルと言えるでしょう。
参考文献:
- Introducing Claude Opus 4.6 – Anthropic公式
- What’s New in Claude 4.6 – Claude API Docs
- Pricing – Claude API Docs
- Anthropic releases Opus 4.6 with new ‘agent teams’ – TechCrunch
- Anthropic launches Claude Opus 4.6 – CNBC
- Claude Opus 4.6 uncovers 500 zero-day flaws – Axios
- Claude Opus 4.6 in GitHub Copilot – GitHub Changelog
- Claude Opus 4.6 on Amazon Bedrock – AWS
- Advancing finance with Claude Opus 4.6 – Claude Blog
- 0-Days – Anthropic Red Team