「AIにパソコン作業を任せられる時代が来た」
2026年1月、Anthropicが発表したClaude Coworkが話題を集めている。「Claude Codeの非エンジニア版」とも呼ばれるこのツール、実際に使ってみたので詳しくレポートする。
目次
- Claude Coworkとは
- 料金プランと始め方
- 実際に使ってみた:ファイル整理編
- 実際に使ってみた:データ分析編
- Claude Codeとの違い
- できること・できないこと
- 使用量と制限の仕組み
- コネクタ機能と外部連携
- Claude in Chrome連携
- セキュリティリスクと安全な使い方
- 2026年1月のアップデート情報
- どんな人におすすめ?
- まとめ
1. Claude Coworkとは
概要
Claude Coworkは、Anthropic社が2026年1月12日に発表したAIデスクトップエージェントだ。キャッチコピーは「Claude Code for the rest of your work」(仕事の残りの部分のためのClaude Code)。
エンジニア向けのClaude Codeとは異なり、プログラミング知識がなくても使えるのが最大の特徴。ファイル整理、データ分析、ドキュメント作成など、日常的なPC作業をAIに任せることができる。
主な機能

Claude Coworkのホーム画面。6つのタスクテンプレートが用意されている
| 機能 | 説明 |
|---|---|
| ファイルを作成 | ドキュメント、スプレッドシートの新規作成 |
| データを分析 | CSV/Excelファイルの分析、グラフ作成 |
| プロトタイプの作成 | 簡単なモックアップ、デザイン案 |
| ファイルを整理 | フォルダ整理、重複ファイル検出 |
| 会議の準備 | 議事録テンプレート、資料作成 |
| メッセージを下書き | ビジネスメール、チャット文面作成 |
技術的な仕組み
Claude Coworkは、AppleのVirtualization Framework上の仮想マシン内で動作する。ユーザーが指定したフォルダにのみアクセスでき、システム全体への影響を最小限に抑えるセキュリティ設計になっている。
内部的にはBashコマンドを実行してファイル操作を行う。つまり、GUIで操作しているように見えて、裏ではClaude Codeと似たことをしている。
2. 料金プランと始め方
料金
| プラン | 月額 | Cowork利用 |
|---|---|---|
| Free | 無料 | 利用不可 |
| Pro | 3,400円 | 利用可能(制限あり) |
| Max 5x | 21,400円 | 利用可能(制限緩和) |
| Max 20x | 42,400円 | 利用可能(大量利用向け) |
Proプラン(3,400円/月)から利用可能。ただし、Proユーザーは使用量制限に達しやすいため、頻繁に使うならMaxプランがおすすめ。
対応環境
- macOS:対応済み
- Windows:後日対応予定
現時点ではmacOS専用。Windowsユーザーは続報を待とう。
始め方
- Claude.aiでProまたはMaxプランに加入
- Claude デスクトップアプリをインストール
- アプリ内の「Cowork」タブを選択
- タスクを選んで「始めましょう」をクリック
3. 実際に使ってみた:ファイル整理編
まずは「ファイルを整理」機能を試してみた。
Step 1: タスクを選択

「何を整理しますか?」と聞かれる。選択肢は:
- ダウンロードフォルダ
- マイフォト
- デスクトップのスクリーンショット
- ファイルを複製
今回は「ダウンロードフォルダ」を選択。
Step 2: フォルダを分析
Coworkがフォルダ内のファイルを自動でスキャン。139個のメディアファイル(587.6MB)を検出した。
Step 3: 整理プランを提案

驚いたのは、ファイルの種類を自動で判別してくれること。AI生成画像(Gemini)、iPhoneの写真、スクリーンショット、動画…と、きれいに分類された。
提案されたフォルダ構造:
Downloads/
├── AI_Generated/
│ └── Gemini/ ← 68ファイル (178 MB)
├── iPhone_Photos/
│ ├── 2025-11/
│ ├── 2025-12/
│ └── 2026-01/
├── Screenshots/
├── Screen_Recordings/ ← 102.6 MB
├── Downloaded_Videos/ ← 276.7 MB
└── Other/
重複ファイルの検出
さらに、重複ファイルまで検出してくれた。
検出された重複:
- Gemini画像の完全重複:約31MB削減可能
- 類似ファイル(JPEG/JPG違い):複数検出
「削除はしない。プランを見せて承認を待つ」という安全設計が嬉しい。
安全設計のポイント
Apple Photosライブラリを選択したときは、「これはmacOS Photosアプリが管理する特殊なパッケージ。直接変更するとライブラリが壊れる可能性がある」と警告してくれた。危険な操作を自動で回避する設計は評価できる。
4. 実際に使ってみた:データ分析編
次は「データを分析」機能。CSVファイルを分析させてみた。
Step 1: 分析の目的を選択

「何について詳しく調べましょうか?」と質問が表示される。選択肢は:
- 競合他社
- 顧客フィードバック
- データセット
- 市場または業界
Step 2: 質問に答える

分析の目的を細かく聞いてくれる:
- What questions are you trying to answer?(何を知りたい?)
- How will you use the results?(結果をどう使う?)
「Identify trends」「Compare segments」「Presentation/report」を選択。
Step 3: ファイルを選択
今回は売上データのCSV(20件のサンプルデータ)をドラッグ&ドロップで渡した。
Step 4: 分析結果
数十秒で分析完了。以下のインサイトが得られた:
Key Insights:
- トレンド:1月から4月で売上31%成長
- トップ商品:ノートPCが売上の49%を占める
- 地域分析:東京+大阪で65%、福岡は11.5%で成長余地あり
- 異常値検出:3月に¥750Kの大型取引(調査推奨)
Step 5: Excelレポート自動生成

「View your report」をクリックすると、Excelファイルが自動生成されていた。

自動生成されたExcelレポート。日本語で完璧にフォーマットされている
レポートは8シート構成:
- サマリー
- 月別トレンド
- 地域分析
- 商品分析
- カテゴリ分析
- クロス分析
- インサイト
- 元データ
CSVをドロップしただけで、ここまでのレポートが自動生成されるのは驚き。
5. Claude Codeとの違い
同じAnthropicの製品だが、Claude CodeとCoworkはまったく異なるユーザー層を想定している。
| 項目 | Claude Code | Claude Cowork |
|---|---|---|
| 対象ユーザー | 開発者・エンジニア | 一般ユーザー・ビジネスパーソン |
| 操作方法 | ターミナル(CLI) | GUI(デスクトップアプリ) |
| 主な用途 | コーディング、サーバー操作 | ファイル整理、データ分析、文書作成 |
| 自由度 | 非常に高い | テンプレートベース |
| 学習コスト | 高い | 低い |
| パワー | 強力 | 限定的だが十分 |
すでにClaude Codeを使いこなしているエンジニアにとっては、Coworkは「下位互換」に感じるかもしれない。しかし、非エンジニアがAIの力を借りてPC作業を効率化するという点では、Coworkの方が圧倒的にアクセスしやすい。
6. できること・できないこと
できること
- ファイル整理:フォルダ分析、分類、重複検出
- データ分析:CSV/Excel分析、グラフ生成、レポート作成
- ドキュメント作成:メール下書き、議事録、プレゼン資料
- 日本語対応:UIは英語だが、日本語データを正しく処理
- ファイル出力:Excel、Markdown形式でエクスポート
できないこと・制限
- Windows非対応:現時点ではmacOSのみ
- リアルタイムファイル操作に制限:仮想マシン内で動作するため、ホストとの同期にラグが発生することがある
- 複雑なプログラミング:本格的な開発作業はClaude Codeの領域
- システム設定の変更:OSレベルの操作は不可
- 初期の研究プレビュー版:まだ不安定な部分がある
7. 使用量と制限の仕組み
Coworkを使う上で最も重要なのが「使用量の仕組み」だ。通常のチャットとは消費量がまったく異なる。
5時間ローリングウィンドウ制
Claude Max/Proの使用量は「5時間ごとのローリングウィンドウ」でリセットされる。日次制限ではないため、午後2時に上限に達しても、深夜まで待つ必要はない。午後7時頃には新しい枠が得られる。
| プラン | 5時間あたりの目安 | Cowork実質タスク数 |
|---|---|---|
| Pro($20) | 約45メッセージ相当 | 3〜5タスク程度 |
| Max 5x($100) | 約225メッセージ相当 | 10〜20タスク程度 |
| Max 20x($200) | 約900メッセージ相当 | 40〜80タスク程度 |
なぜCoworkは消費量が多いのか
Coworkが通常チャットの数十倍のトークンを消費する理由は、タスクの計算集約性にある。
Coworkの処理フロー(1タスクあたり):
- リクエスト分析と計画作成
- タスクを小さなサブタスクに分解
- 仮想マシン環境で実行
- 並列ワークストリームの調整
- ファイルシステムへの出力
- 結果の検証と報告
この一連の処理で、通常チャットの10〜30メッセージ分のトークンを消費する。
制限に達したらどうなる?
2026年からは「Extra Usage」機能が追加された。制限に達しても、API料金での従量課金に切り替えて作業を継続できる。
設定方法:
- Settings → Usage にアクセス
- 「Enable」をクリック
- 支払方法を設定
- 月額上限を設定(日次上限は$2,000)
ポイント:Coworkは複雑なマルチステップタスク向けに設計されている。単純な質問は通常チャットで行い、Coworkは本当に必要なタスクに使うのが賢い使い方だ。
8. コネクタ機能と外部連携
Coworkの真価は「外部サービスとの連携」にある。公式コネクタとMCP(Model Context Protocol)を使えば、ローカルファイルだけでなく、クラウドサービスとも直接やり取りできる。
公式コネクタ一覧(11種)
| コネクタ | 主な機能 | 活用例 |
|---|---|---|
| Asana | タスク作成・検索・割り当て | プロジェクト進捗の自動整理 |
| Atlassian | Jira Issue追跡、Confluence検索 | スプリントレポート作成 |
| Slack | メッセージ送信、Canvas作成 | チーム報告の自動投稿 ※Team/Enterprise限定 |
| Zapier | 数千アプリとワークフロー連携 | 複数サービスをまたぐ自動化 |
| Linear | Issue・プロジェクト作成 | 開発タスクの一括作成 |
| PayPal | 請求書作成・売上分析 | 月次売上レポート生成 |
| Sentry | エラー検索・デバッグ | バグレポートの自動分析 |
| Intercom | サポートトレンド分析 | 顧客問い合わせの傾向把握 |
| Cloudflare | クラウドサービス管理 | インフラ設定の確認・修正 |
| Square | 取引・決済データ管理 | 売上データの分析 |
| Plaid | メトリクス・使用量分析 | 金融データの集計 |
MCP拡張で350種以上のサービスと連携
公式コネクタ以外にも、MCP(Model Context Protocol)を使えば、さらに多くのサービスと連携できる。
MCP対応サービス例:
- Google系:Gmail、Google Drive、Google Calendar
- 開発系:GitHub、GitLab、Notion
- デザイン系:Figma、Canva
- データベース:PostgreSQL、MongoDB、Snowflake
- その他:HubSpot、Salesforce、Airtable など
合計350種以上のサービスがMCP経由で利用可能。
コネクタの設定方法
- Coworkタブで「Connect services」を選択
- 利用したいコネクタを選ぶ
- OAuth認証または APIキーで接続
- アクセス権限を確認して許可
9. Claude in Chrome連携
Coworkと「Claude in Chrome」拡張機能を組み合わせると、Webブラウザの操作も自動化できる。
Claude in Chromeでできること
| 機能 | 説明 |
|---|---|
| Web操作 | クリック、フォーム入力、タブ間移動 |
| マルチタブ管理 | 複数タブを同時に操作・情報収集 |
| スクリーンショット | ページをキャプチャしてClaudeに渡す |
| スケジュール実行 | 日次・週次・月次の定期タスク |
| コンソールアクセス | エラーログ、ネットワーク、DOM読み取り |
Cowork + Chrome の活用例
- 競合調査:複数の競合サイトを巡回し、価格情報をスプレッドシートにまとめる
- 求人情報収集:求人サイトから条件に合う案件を自動抽出
- SNS分析:特定キーワードの投稿を収集してトレンド分析
- フォーム入力自動化:大量のデータ登録作業を代行
利用可能なモデル(プラン別)
| プラン | 利用可能モデル |
|---|---|
| Pro | Haiku 4.5のみ |
| Max / Team / Enterprise | Opus 4.5、Sonnet 4.5、Haiku 4.5から選択 |
10. セキュリティリスクと安全な使い方
Coworkは強力なツールだが、「研究プレビュー版」であり、エージェント特有のリスクがある。Anthropic公式も注意を促している。
主なセキュリティリスク
1. プロンプトインジェクション
Webコンテンツに悪意ある指示が埋め込まれ、Claudeの動作が変更される可能性がある。これは業界全体で対策が進められている課題だ。
2. ファイル削除リスク
Coworkは明示的な指示があればファイルを永久削除できる。誤った指示や曖昧な表現で意図しないファイルが消える可能性がある。
3. MCP拡張の脆弱性
サードパーティのMCP拡張は、新たな攻撃経路になりうる。未検証の拡張機能は導入しないこと。
4. 監査ログの不在
Team/Enterpriseプランでも、Coworkの操作は監査ログに記録されない。コンプライアンス要件がある業務には使用を避けるべき。
Anthropic公式の推奨事項(5つ)
- 専用作業フォルダを作成
重要なファイルがあるフォルダへのアクセスは避け、Cowork専用のフォルダを用意する - 重要ファイルのバックアップ
作業前に必ずバックアップを取る。Time Machineやクラウドストレージを活用 - タスクの監視
個別コマンドの検証より、予期しないパターンや範囲拡大を観察する - Chrome拡張は信頼済みサイトのみ
不審なサイトでのブラウザ操作は避ける - MCP拡張は検証済みのみ
公式または信頼できるソースからの拡張のみを使用
規制対象業務への使用は非推奨
Anthropicは明確に「規制対象業務への使用は推奨しない」と述べている。金融、医療、法務など、コンプライアンス要件が厳しい業務では、Coworkの使用を避けるべきだ。
疑わしい動作を発見したら:
- メール:support@anthropic.com
- アプリ内フィードバック機能
11. 2026年1月のアップデート情報
Coworkは発表から急速に進化している。最新の変更点をまとめた。
リリース履歴
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 1月12日 | Cowork発表、Max プランで提供開始 |
| 1月13日 | Anthropic Labs チーム拡大発表(Mike Krieger参加) |
| 1月16日 | Proプラン($20)でもCowork利用可能に |
| 1月23日 | Team/Enterpriseプランで提供開始 |
| 1月27日 | MCP Apps発表(Slack、Figma、Canva等と対話型連携) |
今後の予定
- Windows対応:後日対応予定(時期未定)
- MCP Apps のCowork統合:対話型ツールがCoworkでも利用可能に
- 監査ログ対応:Enterprise向けに検討中
12. どんな人におすすめ?
おすすめな人
- 非エンジニアのビジネスパーソン:AIの力を借りて業務効率化したい
- データ分析初心者:Excelは使えるけど分析は苦手
- ファイル整理が苦手な人:ダウンロードフォルダがカオス
- レポート作成に時間がかかる人:定型レポートを自動化したい
- Claude Codeに興味があるけど敷居が高い人:まずはCoworkから試す
おすすめしない人
- すでにClaude Codeを使いこなしている人:機能的には下位互換
- Windowsユーザー:現時点では非対応
- 無料でAIを使いたい人:最低3,400円/月が必要
- 完璧な精度を求める人:まだプレビュー版
13. まとめ
Claude Coworkを実際に使ってみた感想をまとめる。
結論
非エンジニアがAIの力を借りてPC作業を効率化するツールとして、かなり実用的。
特に「データ分析 → Excelレポート自動生成」の流れは感動した。CSVをドロップするだけで、サマリー、グラフ、インサイトまで含んだレポートが数十秒で完成する。
良かった点
- 直感的なUI、プログラミング知識不要
- 日本語データを正しく処理
- 危険な操作を自動で回避する安全設計
- Excelレポートの品質が高い
改善を期待する点
- Windows対応
- ファイル操作の同期ラグ
- UIの日本語化
今後の展望
Claude Coworkは「初期の研究プレビュー版」と明記されている。今後のアップデートで機能が拡充されていくだろう。
「AIにパソコン作業を任せる」という未来が、すでに始まっている。興味がある人は、ぜひ試してみてほしい。