AIシステム、実際どうやって作られているのか
ChatGPTが話題になってから、「AIを使ったサービスを作りたい」という人が増えた。でも、実際にAIシステムを開発しようとすると、何から手をつけていいかわからない。
「Pythonを勉強すればいいんでしょ?」
半分正解で、半分不正解。確かにPythonはAI開発の中心的な言語だけど、それだけでは実用的なAIシステムは作れない。
この記事では、実際のAIシステム開発で使われている技術スタックを紹介する。「へー、こういう技術が必要なのか」というイメージを掴んでもらえれば嬉しい。
AIシステムの構成要素を分解してみる
たとえば、ChatGPTのようなAIチャットサービスを想像してほしい。ユーザーが質問を入力して、AIが回答を返す。シンプルに見えるけど、裏側では複数の技術が連携して動いている。
ざっくり分けると3つの層がある
| 層 | 役割 | 主な技術 |
|---|---|---|
| フロントエンド | ユーザーが触る画面。入力フォーム、チャットUI、結果の表示など | TypeScript, React, Next.js |
| バックエンド | リクエストを受けて処理する。APIサーバー、データベース連携など | Python, FastAPI, Node.js |
| AI/ML層 | AIモデルの実行、推論、学習。LLM APIの呼び出しなど | Python, LangChain, PyTorch |
「全部Pythonでいいじゃん」と思うかもしれない。確かにPythonでフロントエンドも書けなくはない。でも、実務ではそうしない理由がある。
なぜフロントエンドはTypeScriptなのか
フロントエンド(ユーザーが触る画面)は、TypeScriptで書くのが今の主流だ。
理由1:型があると安全
TypeScriptはJavaScriptに「型」を追加した言語。変数や関数の引数に型を指定できるから、バグを事前に防げる。
たとえば、「この変数には文字列しか入らない」と宣言しておけば、間違って数値を入れようとしたときにエラーが出る。これがJavaScriptだと、実行するまでエラーに気づかない。
AIシステムは複雑になりがちだから、型があるとバグの温床を減らせる。
理由2:ReactやNext.jsとの相性
Webアプリのフロントエンドを作るとき、ReactやNext.jsを使うことが多い。これらはTypeScriptとの相性が抜群で、開発効率が上がる。
チャットUIみたいなリアルタイム性が求められる画面も、Reactなら比較的簡単に作れる。
理由3:チーム開発で助かる
一人で開発するなら好きな言語でいい。でも、チームで開発するなら、型があった方がコードの意図が伝わりやすい。「この関数は何を受け取って、何を返すのか」が明確になる。
なぜバックエンド・AI層はPythonなのか
一方、バックエンドやAI/ML層はPythonが圧倒的に強い。
理由1:AI系ライブラリが豊富
PyTorch、TensorFlow、Scikit-learn、LangChain、Hugging Face Transformers。AI開発で使うライブラリは、ほとんどがPython製だ。
特にLLM(大規模言語モデル)を使った開発では、LangChainというフレームワークがデファクトスタンダードになりつつある。これもPython。
理由2:学習コストが低い
Pythonは文法がシンプルで、読みやすい。プログラミング初心者でも比較的入りやすい言語だ。
AI開発では、アルゴリズムやモデルの理解に頭を使いたい。言語の文法で悩んでいる場合じゃない。そういう意味でも、Pythonは合理的な選択。
理由3:FastAPIが優秀
PythonでAPIサーバーを作るなら、FastAPIというフレームワークが便利。非同期処理に対応していて、パフォーマンスも良い。自動でAPIドキュメントを生成してくれる機能もある。
AIの推論結果をAPI経由でフロントエンドに返す、という構成が簡単に作れる。
ハイブリッド構成の実際
じゃあ、実際のAIシステム開発ではどういう構成になるのか。典型的な例を紹介する。
構成例:AIチャットアプリ
- チャットUI
- ユーザー入力の送信
- AIの回答を表示
- リクエストの受付
- 認証・認可
- データベース操作
- LLM APIの呼び出し(OpenAI, Claude等)
- プロンプトの構築
- RAG(検索拡張生成)の実行
フロントエンドとバックエンドは、APIを通じてやり取りする。フロントエンドはTypeScriptで、バックエンド以降はPythonで、という分業体制だ。
なぜ分けるのか
「全部Pythonで統一した方がシンプルじゃない?」という疑問はもっとも。でも、分ける理由がある。
- 適材適所:フロントエンドはTypeScript/Reactが得意。AI処理はPythonが得意。それぞれの強みを活かす
- スケーラビリティ:フロントエンドとバックエンドを分けておくと、負荷に応じて別々にスケールできる
- チーム分業:フロントエンド担当とバックエンド/AI担当で分業しやすい
実際に必要なスキルセット
じゃあ、AIシステム開発をやりたい人は、何を学べばいいのか。優先度順に整理してみる。
必須スキル
| スキル | 学ぶ内容 | 優先度 |
|---|---|---|
| Python基礎 | 変数、関数、クラス、ファイル操作、例外処理 | ★★★ |
| API開発 | FastAPI or Flask、REST API設計、JSON | ★★★ |
| LLM活用 | OpenAI API、Claude API、プロンプトエンジニアリング | ★★★ |
| LangChain | Chain、Agent、RAG、Memory | ★★☆ |
| TypeScript基礎 | 型、インターフェース、ジェネリクス | ★★☆ |
| React | コンポーネント、State、Hooks、API通信 | ★★☆ |
あると強いスキル
- 機械学習の基礎:教師あり学習、教師なし学習の概念。実装できなくても、仕組みを理解していると応用が利く
- データベース:PostgreSQL、MongoDB。ベクトルDBならPinecone、Weaviateなど
- クラウド:AWS、GCP、Azure。デプロイや運用で必要になる
- Docker:コンテナ化。環境構築や本番デプロイで使う
学習ロードマップの例
「何から始めればいいかわからない」という人向けに、学習の順番を示しておく。
Phase 1:Python基礎(1〜2ヶ月)
まずはPythonの基礎を固める。変数、条件分岐、ループ、関数、クラス。ここを飛ばすと後で詰む。
Phase 2:LLM活用(1ヶ月)
OpenAI APIやClaude APIを使って、簡単なAIアプリを作ってみる。プロンプトエンジニアリングの基礎も学ぶ。
Phase 3:API開発(1ヶ月)
FastAPIでREST APIを作る。AI機能をAPIとして公開できるようになる。
Phase 4:フロントエンド(1〜2ヶ月)
TypeScriptとReactを学ぶ。簡単なチャットUIを作って、Phase 3で作ったAPIと繋げる。
Phase 5:応用(継続)
LangChain、RAG、ベクトルDB、デプロイ。実践的なプロジェクトを通じて学ぶ。
独学で全部やるのは正直しんどい
ここまで読んで、「学ぶこと多すぎない?」と思った人もいるだろう。
正直、その通りだ。
Python、FastAPI、LangChain、TypeScript、React。それぞれ単体で学ぶのも大変なのに、全部を組み合わせてシステムとして動かすとなると、ハードルが一気に上がる。
独学だと、こんな壁にぶつかりやすい。
- 技術同士の繋げ方がわからない
- エラーが出たとき、どこが原因かわからない
- 「動いたけど、これが正しいやり方なのか?」と不安になる
- 最新の技術動向についていけない
体系的に学べる環境があると違う
もし本気でAIシステム開発を学びたいなら、体系的なカリキュラムがあるスクールを検討するのも手だ。
たとえば、品川に拠点を置く「YUA(ユア)」というAIスクールでは、この記事で紹介したような技術スタックを体系的に学べる。
YUAで学べる内容
- Python基礎から応用まで
- 機械学習、深層学習
- ChatGPT、Claude、GeminiなどLLMの活用
- LangChain、RAGの実装
- API開発、システム構築
150時間分の教材が月額9,800円で学び放題。24時間チャットサポートと週1〜2回のメンタリングがあるから、詰まったときも相談できる。
独学で何ヶ月も試行錯誤するより、プロに教わった方が効率がいいこともある。特に「何がわからないかわからない」状態のときは、質問できる相手がいるだけで全然違う。
まとめ:AIシステム開発は複合スキルが求められる
AIシステム開発は、単一の技術では完結しない。フロントエンドのTypeScript/React、バックエンドのPython/FastAPI、AI層のLangChain。これらを組み合わせて、初めて実用的なシステムになる。
「全部学ぶのは大変そう」と感じるのは正常な反応だ。実際、大変だから。
でも、一つずつ積み上げていけば、必ず作れるようになる。大事なのは、正しい順番で、正しい方法で学ぶこと。
独学で頑張るもよし、スクールを活用するもよし。自分に合ったやり方で、一歩ずつ進んでいこう。